- 制作アイテム
- ベスト
BUNKITSU TOKYOのユニフォームづくりは、「実は本屋の仕事は、かなり体を使う」という現場の実感から始まりました。棚の上と下を何度も行き来し、しゃがんでは立ち上がり、店内を一日中歩き回る。気づけば1日で3万歩近くになることもあるそうです。
既存店で使用していたショップコートのユニフォームは、そうした動きの中で少しずつ動きづらさを感じさせ、無意識のうちにストレスを生んでいたのではないか、という声がありました。また、サイズ展開がないことで、さまざまな体型のスタッフに対応しきれない点も課題として挙がっていました。
ただ、動きやすければそれでいい、というわけではありません。
「文化を喫する、入場料のある本屋」として、落ち着いた滞在型の読書体験を提供してきた既存店に対し、BUNKITSU TOKYOはフラッグシップ店舗として、より幅広い顧客層に向けて“楽しい本屋での読書体験”を届けるという新たなコンセプトを掲げています。だからこそ、機能性だけでなく、空間や本の世界観に自然と溶け込むオシャレさも大切にしたい。その想いを、ユニフォームというかたちでも表現することが重要だと考えました。
そこで着目したのが「ベスト」という選択です。

ジャケットの下に着る脇役のような存在ではなく、トップスやパンツはスタッフそれぞれの個性に委ねながらも、全体としてきちんとユニフォームとして成立する一着。ワークジャケットをベースに据えたベストは、襟をなくし、深めのスリットを入れることで、移動やしゃがむ動作にも無理なく寄り添う設計にしました。インカムを付け、メモを持ち歩く日常を想定し、左胸ポケットは深めに、ボタンはあえて付けず、必要なものをさっと収められる大きめのポケットを配置しています。
サイズは3サイズ展開。ゆったりめのシルエットとし、身長や体型を問わず着られるかどうかを確かめるため、実際にさまざまなスタッフに試着してもらいながら丁寧に確認を重ねました。
仕上がるまで少しドキドキしながらも、「人を選ばず着られるなら安心ですね」という声が聞けたことは、大きな手応えとなりました。

生地には、ポリエステルの扱いやすさやシワになりにくさを活かしつつ、明るい店内でもテカリが出ないよう質感にこだわり、重く見えないグレーを選択。パーツをあえて複雑にしないことで、お手入れのしやすさにも配慮しています。
グラフィックの変更に合わせたリニューアルであり、なおかつタイトなスケジュールの中ではありましたが、ボタンや生地を数多くの選択肢の中から選び、思いつく限りの希望をすべて出し切ることができました。その結果、「ちゃんと一緒につくった」と実感できるユニフォームが完成しました。スタッフからは、「自分のファッションを崩さずに着られる」「遊びに行っていた服装のまま職場に来ても、自然と馴染む」といった声が上がり、スカートでもパンツでも合わせやすいその佇まいが、毎日の仕事を少し心地よくしてくれる存在となっています。

制作担当者
佐々木美季