制服リニューアルの成功事例を知りたいと考えながらも、「本当に変えるべきなのか」「失敗しないだろうか」と悩む企業担当者は少なくありません。制服は毎日、当たり前のように身につけられる存在だからこそ、その価値や役割が見えにくくなりがちです。
しかし一方で、制服やユニフォームは企業の姿勢や価値観を最もわかりやすく伝えるデザインツールでもあります。レストランのおしゃれなユニフォームや、クリニックの清潔感ある制服など、装いは業種を問わずその企業らしさを直感的に伝える重要な要素です。
本記事では、UNIX TOKYOがこれまでに手がけてきたオリジナル・オーダーメイド制服のリニューアル事例をもとに、制服を刷新することでどのように企業価値の向上や働く環境の改善につながっていったのかをご紹介します。
制服リニューアルで企業が抱える課題とは
制服を見直そうと考える背景には、単なる経年劣化だけではない、いくつもの理由が重なっています。
機能面の違和感が、日々のストレスになっている
「動きにくい」「暑い・寒い」「ポケットの位置が使いづらい」。こうした制服・ユニフォームへの小さな不満は、日々の業務の中で確実に蓄積していきます。現場の業務内容や環境が変化しているにもかかわらず、制服だけが昔のままというケースも少なくありません。
企業イメージと制服が、少しずつズレてきている
事業内容やブランドの方向性が進化する中で、制服・ユニフォームだけが過去のイメージを引きずってしまうことがあります。店舗やサービスの世界観と制服のデザインに一貫性がなくなったとき、違和感を覚えるのはお客様だけではありません。
採用や定着への影響を、無視できなくなっている
制服・ユニフォームは、働く人にとって「自分がその会社の一員であること」を実感させる存在です。着たいと思えない制服は、モチベーションや誇りに影響し、結果として採用や定着にも関わってきます。制服の課題は、見た目以上に組織の内側と深く結びついています。
【成功事例①】ブランドイメージを再定義するオーダーメイド制服制作|株式会社ヨックモック

UNIX TOKYOが手がけた数多くの制服リニューアルの中でも、「ブランドらしさとは何か」を改めて問い直した成功事例として象徴的なのが、株式会社ヨックモックのプロジェクトです。
現場の声が制服刷新のきっかけに
制服リニューアルのきっかけは、現場で働くコーディネイターたちからの不満の声が積み重なっていたこと。
「伸縮性がなく、動きにくい」「熱がこもりやすく、長時間の接客が負担になる」「サイズ感が合わず、体型を拾ってしまう」。こうした、制服を着用する中で感じる違和感を払拭したいとの想いを抱えていらっしゃいました。
また、企業としても「今のヨックモックらしさを、制服でどう表現するか」という課題を感じていらっしゃいました。長く愛されてきたブランドだからこそ、変化には慎重さが求められます。
そこで、現場視点とブランド視点の両立を目指し、ヨックモックの営業部・ブランディング部の皆さんと一緒に制服のリニューアルを進めました。
歴代の制服を紐解き、新たなデザインを設計
UNIX TOKYOでは、新しい制服を作る前に「知る」ことを重視しています。
過去のユニフォームは、どのような思想で作られてきたのか。なぜ長く愛されてきたのか。それぞれの時代背景や意図を丁寧に紐解きながら、エレガントさという軸は何十年も受け継がれてきたことが見えてきました。
今回UNIX TOKYOが提案したのは、そのエレガントさをより洗練された印象に更新すること。流行をなぞるのではなく、ブランドとして意味のある佇まいを形にする、オーダーメイドでの設計でした。

新ユニフォームで印象的なのが、やわらかなベージュの差し色です。この色は、ヨックモックの代表的な焼き菓子「シガール」の焼き色から着想を得たもの。均一ではない繊細なグラデーションを、前後のディテールでさりげなく表現しています。
また、トップスをアウトスタイルにすることで体型を選ばないゆとりを持たせた設計で、動きやすさと通気性を確保。速乾性があり、アイロン不要の素材を採用といった工夫により、美しさと実用性を両立したデザインを実現しました。
現場で実感された、確かな変化
導入前には、全コーディネイターが1日ユニフォームを着用して業務を行う検証期間が設けられました。見た目だけでは伝わりにくい機能性も、実際に体験することで理解を深めていただくことができると感じています。
導入後には「ヨックモックのブランドをきちんと表現できている」「上品さと親しみやすさのバランスが良い」「どんなスタッフにも似合う、ボーダーレスなデザイン」「以前よりも圧倒的に動きやすい」といった声が、現場・経営層の双方から寄せられています。
制服リニューアルの本質は“刷新”ではなく再定義とも言えます。UNIX TOKYOは、競合や市場を客観的に調査するほか、顧客体験をして現場の動きを観察し「ヨックモックらしさ」を言語化したうえで、制服をブランド体験の一部として設計しました。
結果として、時代に左右されにくく、長く愛されるオリジナルユニフォームが生まれました。制服は、静かに、そして確かに、ブランドの姿勢を語り続けています。
【成功事例②】老舗の品格と現場力を両立した制服刷新|精肉「日山」
UNIX TOKYOは、精肉「日山」の制服リニューアルもお手伝いしました。こちらも、ブランドイメージの再構築につながった成功事例の一つです。
現場の印象を、制服から変えたいという想い
創業100年以上、日本の食文化と向き合ってきた日山グループ。老舗精肉「日山」を中心に、すき焼き飲食事業などへも展開を広げています。今回のリニューアルの出発点は、「現場の印象を、制服から変えたい」というご要望でした。
長い歴史に裏打ちされた品格と、地域に根差した温かさ。その両立を、スタッフが日々身にまとう制服でどう表現するかが大きなテーマとなりました。
美しいシルエットのコックコートと業務に応じたエプロン
全セクションのスタッフが着用するコックコートは、一人ひとりの動作に寄り添いながら、美しく見えることを重視したデザインに。
肩のアクションプリーツによって腕の動きをスムーズにし、肘部分は立体構造にすることで、生地の引きつりを軽減させました。ストレッチ素材を採用し、スマートなシルエットと快適な着心地を両立させています。毎日着るものだからこそ、ジャストサイズでも無理がない設計にこだわりました。

さらに、全体の印象を引き締めるベレー帽も製作し、清潔感と信頼感を高められるように工夫しています。
導入後に感じられた、現場とお客様の変化
制服導入後は「動きやすい」「気持ちが引き締まる」といった声がスタッフから寄せられました。
またお客様からも「立ち居振る舞いがより美しく見える」と好評をいただき、制服が“装い”ではなく“誇りを持って働くためのスイッチ”として機能していることを実感する導入となりました。
<精肉「日山」のユニフォーム制作事例を見る>
【成功事例③】保育士の魅力を制服で伝える|ほうとく保育園・ほうとくLALA保育園

茨城県水戸市にある、 ほうとく保育園・ほうとくLALA保育園のオリジナル制服は、現場で働く人々のモチベーションアップとブランディングにつながった成功事例の一つです。
保育士という仕事の魅力を、装いから伝えたい
ほうとく保育園・ほうとくLALA保育園では、和太鼓やスポーツ、料理、野菜の栽培など、体験型の活動が充実しており、先生や友達とのふれあい、人前での発表といった「幼少期だからこそ大切にしたい時間」を丁寧に育んでいます。
一方で、全国的に深刻化する保育士離れという課題も抱えていました。「少しでもこの仕事に興味を持ってもらえるきっかけをつくりたい」との想いから、初めてのユニフォーム導入をUNIX TOKYOにご相談いただきました。
エプロンに代わる、新しい選択肢としてのベスト
保育士の服装といえば、私服にエプロンというスタイルが一般的です。 そこで今回は、エプロンの役割を担いながらも、よりきちんと感と統一感を演出できるおしゃれなベストを制作しました。

普段の保育では、私服に合わせてエプロン代わりとして、セレモニー時には、ブラウスとパンツに合わせた正装として。一着でシーンを切り替えられる仕様にすることで、日々の服装選びの負担を軽減しつつ、園全体の印象をエレガントに統一しています。
もちろん、自宅で洗濯が可能で、シワになりにくい素材を採用。 毎日使うものだからこそ、メンテナンス性も重視しています。
“おしゃれを楽しめる職場”という新しい価値
制服導入後は、職員の方々はもちろん、保護者や来客からも好評の声が寄せられました。
何より印象的だったのは、保育士の方々がそれぞれにおしゃれを楽しみながら、前向きに仕事に取り組まれているという変化です。
「働く人を大切にしたい」という園の姿勢が、装いを通して自然と伝わる。 スタッフのモチベーション向上と、園のブランディングを同時に支える制服リニューアルとなりました。
【成功事例④】“心からの寛ぎ”を制服で体現|ザ セレスティンホテルズ / 三井ガーデンホテルズ

株式会社三井不動産ホテルマネジメントが運営する「ザ セレスティンホテルズ」「三井ガーデンホテルズ」の制服リニューアルにも携わりました。ゲスト体験とスタッフの働きやすさ、その両立を制服でどう実現するかを丁寧に突き詰めた事例です。
心からの寛ぎを、装いから伝えるために
ホテルにおける制服は、ブランドイメージを最前線で体現する存在です。一方で、長時間の立ち仕事や多岐にわたる業務内容など、スタッフにとっては機能性や快適性が強く求められるアイテムでもあります。
今回のリニューアルでは、「Relaxing Good Time」というデザインコンセプトのもと、「ゲストにとって親しみやすく、緊張を和らげる存在であること」「スタッフがストレスなく、自然体で働けること」のどちらも両立させることが大きなテーマとなりました。
親しみやすさと多様性を、細部の設計で表現
新しい制服では、親しみやすさの象徴としてアースブラウンを基調にしたジャケットを採用。従来のタイドアップスタイルから一転し、比翼仕立てのバンドカラーシャツとノーカラージャケット、ノーネクタイという軽やかなスタイリングへと刷新されました。
また、パンツとスカートをスタッフが自由に選択できる仕様とし、多様な価値観や働き方を尊重する姿勢を反映しています。

ジャケットの袖は9分丈に設定し、スリットを入れることで折り返し着用も可能に。腕の長さの違いだけでなく、業務内容や作業スタイルに応じた調整ができるよう工夫されています。

内側には、ホテル業務に適した多機能ポケットやインカムループを配置。見た目の美しさだけでなく、現場での使いやすさを細部まで考え抜いた設計です。
素材面では、軽量かつ機能性の高い生地を採用。インナー類はすべてウォッシャブル・形態安定素材で、自宅での洗濯後はノーアイロンで着用可能となっています。さらに、全アイテムの表地にはリサイクルペットボトル素材を使用し、着用後はマテリアルリサイクルを行うなど、環境への配慮も徹底されています。
ゲストとスタッフ、双方に届く“寛ぎ”
新しい制服は、ゲストからの「柔らかく、話しかけやすい印象になった」という声とともに、 スタッフからも「動きやすく、気持ちよく仕事ができる」という評価を得ています。
“心からの寛ぎ”という抽象的な価値を、制服という具体的な形で体現させた、象徴的なリニューアル成功事例と言えます。
<ザ セレスティンホテルズ / 三井ガーデンホテルズのユニフォーム制作事例を見る>
制服リニューアル成功事例に共通する3つのポイント

ご紹介してきた成功事例には、共通する3つのポイントがありました。これらを意識することで、制服のリニューアルが単なる刷新ではなく、組織に根づく取り組みへと変わっていきます。
1. 「なぜ変えるのか」を言葉にしている
成功している企業や施設ほど、制服を通して何を伝えたいのかが明確です。課題や想いを言語化することで、デザインの方向性に一貫性が生まれます。
2. 導入後の風景まで想像している
着用シーン、洗濯や管理方法、追加発注のしやすさなど、導入後の運用まで見据えること。制服が特別な存在ではなく、日常の一部として自然に根づくために欠かせない視点です。
3. 現場と経営、両方の視点を行き来している
制服は、現場のためのものでもあり、企業全体の象徴でもあります。どちらか一方に偏らず、両方の視点を行き来しながら設計することが成功につながります。
制服リニューアルを成功させるための進め方|UNIX TOKYOの視点
UNIX TOKYOでは、制服を“つくる”というよりも、企業や施設の内側にある想いを整理し、日常に根づく形へと設計することを重視しています。私たちがオリジナルの制服の制作を前向きな変化につなげるために行ってきた、基本的な進め方をご紹介します。
現状の違和感を洗い出す
まずは、現場で感じている小さな違和感を丁寧に拾い上げます。動きにくさや気温の変化への対応、サイズ感に加え、「デザインが古く感じる」「今の雰囲気に合っていない」などの見た目に関する不満も重要なヒントです。
また、同じデザインで追加発注ができない、クリーニングのコストを見直したいといった運用面の課題も含めて整理することで、表に出にくい問題が見えてきます。
企業らしさを定義する
歴史や理念、日々大切にしている価値観を整理し、「らしさ」を言語化します。制服は、その延長線上にある存在です。
試作と検証を重ねる
実際の業務で着用し、見た目だけでは分からない点を検証。現場の声を反映しながら、細かな調整を重ねていきます。
長く使うための運用を設計する
制服は完成がゴールではありません。時間とともに育ち、組織に馴染んでいく存在として、運用面まで含めて設計します。在庫保管や追加発注のコントロール、導入後に生じる仕様変更のご相談など、長期的な視点で安定して使い続けられる体制を整えます。
さらにUNIX TOKYOでは、オリジナルユニフォーム制作を通じて培った企業理解を起点に、採用まで伴走する支援も行います。ユニフォームの導入が、採用活動にもつながっていることを可視化する試みです。
職場の空気感や働く人の魅力を写真や映像として表現し、広告運用までをサポートすることで、採用媒体に依存していた状態から、企業自らが能動的に応募者と出会える仕組みづくりへとつなげていきます。
まとめ
制服のリニューアルは、単なるデザイン変更ではありません。それは、企業が働く人やお客様に対して、どんな姿勢で向き合っているのかを表明することでもあります。
UNIX TOKYOは、現場に寄り添い、企業の文脈を読み解きながら、その「らしさ」を形にしてきました。制服を見直すことは、企業自身を見つめ直すこと。その一歩を、静かに、しかし確かに支える存在でありたいと考えています。



