お店の内装やメニューにはこだわったのに、ホールスタッフの制服はなんとなく選んでしまった。そんな経験をお持ちの方は少なくありません。
けれど、テーブルでお客様を最も長くおもてなしするのは、料理を運び、言葉を交わすホールスタッフです。制服は、内装と同じくらいお店の印象を形づくる大切な要素だと私たちは考えています。
この記事では、業態別のホールスタッフの制服スタイルや主なアイテム、買い替えやクリーニングまで含めた既製品とオーダーメイドの違いを、私たちUNIX TOKYOが手がけた飲食店の事例とともにお伝えします。
ホールスタッフの制服は内装と同じくらいお店の印象を左右する

飲食店のブランディングというと、内装や器、メニューのデザインが思い浮かぶかもしれません。けれど、お客様の記憶に残るお店には、スタッフの装いまで含めた一貫した世界観があります。まずは、ホールスタッフの制服が持つ役割から考えてみましょう。
お客様を最も長くおもてなしするのはホールスタッフ
来店から会計まで、お客様と言葉を交わし、料理を届け、テーブルを見守り続けるのはホールスタッフです。食事の時間を通して、もっとも長くお客様をおもてなしする存在といえます。
だからこそ、制服を着用したホールスタッフの佇まいは、お店そのものの印象として記憶に残ります。清潔感や統一感のある装いは、料理への期待感やお店への信頼にもつながっていきます。
制服は空間を完成させるブランディング要素
どれほど内装にこだわっても、スタッフの装いがその世界観と合っていなければ、空間はどこか未完成に見えてしまいます。
反対に、内装の色や素材と制服のトーンが揃っていると、お客様は無意識のうちに「このお店らしさ」を感じ取ってくれます。制服は、内装と並んで空間を完成させるブランディングツールなのです。
所作を美しく見せ働きやすさを支える
ホールの仕事は、想像以上に体を動かします。料理を運び、テーブルを片付け、しゃがんでお客様と目線を合わせる。一日に何度も繰り返す動作の中で、制服の着心地は働きやすさを大きく左右します。
動きやすく、体に美しく沿う制服は、スタッフの所作をより丁寧に見せてくれます。袖を通したときに気持ちが切り替わる一着は、スタッフのモチベーション向上にもつながります。
業態別に見るホールスタッフの制服スタイル

ホールスタッフの制服に決まった正解はありません。ただ、業態ごとにお客様が期待する雰囲気は異なります。代表的な業態ごとのスタイルを見ていきましょう。
フレンチ・イタリアンなどのレストラン
特別な時間を過ごすレストランでは、品格を感じさせる装いが好まれます。シャツにベスト、黒のパンツを合わせたスタイルや、ジャケットを取り入れたスタイルが代表的です。
近年は、かっちりとしたフォーマルだけでなく、ノーカラーのジャケットやシャツにタブリエ(長めの腰巻きエプロン)を合わせた、品格とリラックス感を両立したスタイルも増えています。
カフェ・ビストロ
カフェやビストロでは、親しみやすさと居心地の良さが大切です。シャツやブラウスにエプロンを合わせたシンプルなスタイルが多く、デニムやリネンライクな生地もよく選ばれます。
店内のインテリアやファブリック、照明の色に合わせて、色や柄で馴染ませるのか、コントラストをつけるのか調整していきます。
和食店
和食店では、作務衣や和風の襟のシャツ、前掛けなど、和の要素を取り入れた装いが定番です。
伝統的なスタイルに限らず、モダンな和の空間であれば、シャツにシンプルな前掛けを合わせるなど、和の要素をさりげなく取り入れる方法もあります。器やしつらえとの調和を意識して選ぶことがポイントです。
バー・ホテルダイニング
落ち着いた照明の中でお酒や食事を楽しむバーやホテルダイニングでは、洗練された装いが求められます。ベストに蝶ネクタイ、ジャケットなど、フォーマル度の高いスタイルが代表的です。
暗めの照明の下では、生地の光沢や質感が印象を大きく左右します。実際の空間でどう見えるかまで確かめて選びたいところです。
ホールスタッフの制服を構成する主なアイテム

ホールスタッフの制服は、いくつかのアイテムの組み合わせでできています。それぞれの特徴を知っておくと、自分たちのお店に合うスタイルを組み立てやすくなります。
トップス|シャツ・ブラウス・ポロシャツ
制服の印象をもっとも左右するのがトップスです。
レストランでは白や黒のシャツ・ブラウスが基本ですが、襟の形をスタンドカラーやバンドカラーにするだけでも、印象は大きく変わります。カジュアルな業態では、動きやすく洗濯しやすいポロシャツやTシャツも選ばれています。シワになりにくい素材を選ぶと、日々の手入れの負担も軽くなります。
エプロン|胸当て・腰下・タブリエ
エプロンは、汚れを防ぐ機能的なアイテムであると同時に、スタイルの印象を決めるアイテムでもあります。
胸当てのあるエプロンは胸ポケットにペンや伝票を入れられ、カフェなどで多く使われています。腰下のエプロンは軽快な印象に、丈の長いタブリエは品のある印象になります。丈や色を変えるだけで雰囲気が大きく変わるため、お店の世界観に合わせて選びたいアイテムです。
ベスト・ジャケット・ショップコート
ベストやジャケットは、装いにきちんと感を加えてくれるアイテムです。
フォーマルなレストランではベストやジャケット、カジュアルな業態では羽織るだけで統一感が出るショップコートなど、業態に合わせて選び分けます。トップスやパンツはシンプルにして、羽織りものでお店らしさを表現する方法もあります。
ボトムスと足元
ボトムスは、一日中立ち仕事が続くホールスタッフにとって、着心地が特に重要なアイテムです。ストレッチ性のある生地や、すっきりと見えるテーパードシルエットのパンツがよく選ばれています。
足元は、滑りにくく疲れにくい靴を選ぶことが基本です。全体の色味と合わせて、制服と一体感のある靴を選ぶと、装いがより引き締まります。
ホールスタッフの制服の事例
ここからは、私たちUNIX TOKYOが手がけたホールスタッフの制服事例をご紹介します。お店の空間やコンセプトと、制服がどのようにつながっているのかに注目してご覧ください。
apothéose|石や木の空間に溶け込むベージュのセットアップ

虎ノ門ヒルズ ステーションタワー最上階の「TOKYO NODE」に店を構えるフレンチガストロノミー「apothéose」。「ミシュランガイド東京2026」で一つ星を獲得したお店です。
店内は、和と北欧を融合させた空間。白やベージュを基調とした曲線的なデザインに、石や木などの自然素材が使われています。

サービススタッフの制服は、ノーカラージャケットとテーパードシルエットのパンツを合わせたベージュのセットアップです。洗練されたミニマルな印象の中に、動きやすさと品格を兼ね備えました。ベージュのトーンが石や木のインテリアに馴染み、スタッフの所作を美しく引き立てています。
<apothéoseの導入事例を詳しくみる>
TOKYO NODE DINING|「美術館学芸員」を思わせるショップコート

同じく虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの45階にある「TOKYO NODE DINING」は、レストランとバーカウンター、ギャラリーがつながるオールデイダイニングです。
制服のコンセプトは「美術館学芸員の理想像」。ギャラリーとつながるフロアの特徴を活かして考案しました。

ベーシックな黒のシャツとパンツに、グレージュのショップコートを羽織るスタイルで、学芸員のようにシームレスでミニマムな印象に仕上げています。ブラックとグレージュの配色は、近未来的な空間にも自然と馴染みます。軽くシワになりにくい生地を選び、仕事中のストレスを減らす工夫も取り入れました。
<TOKYO NODE DININGの導入事例を詳しくみる>
焼肉トラジ|着こなしを変えて役割を伝える白のコックコート

「焼肉トラジ」からいただいたのは、アイテム数を減らして運用コストを抑えたい、一方で店内での役割は明確にしたいというご要望でした。長く運用することを考えればアイテム数は少ないほうが良いものの、お客様から見たポジションの違いも必要です。

そこで生まれたのが、同じコックコートを、ポジションに応じて着こなしを変えて使うという発想です。店舗マネージャーは襟を折ってネクタイと合わせ、ジャケット風に。ホールスタッフとキッチンスタッフは襟を立て、コックコートとして着用します。
真っ白なコックコートは、清潔感と安心感を届けてくれます。カタログ品にはない独自のデザインで、運用面の課題とお店らしさを両立した事例です。
<焼肉トラジの導入事例を詳しくみる>
Osteria IL VIAGGIO|モダンな空間に色を添える3色のシャツ

新鮮な食材の魅力を薪火で引き出すイタリアンレストラン「Osteria IL VIAGGIO」。7月10日のグランドオープンに合わせ、モダンなインテリアにアクセントを加える制服を制作しました。

サービススタッフのシャツは、色鮮やかな3色展開。イタリアのファッションに倣い、体に沿うパターンで大人の色気を演出しています。第二ボタンまで開けても襟が開きすぎないよう、ボタンの間隔を計算して上品さを保ちました。
合わせたのは、UNIX TOKYOの定番であるグレーのタブリエ。細身でスタイリッシュなパターンと、どんな制服とも合わせやすい色が特徴です。
<Osteria IL VIAGGIOの導入事例を詳しくみる>
汚れや買い替えまで考えたホールスタッフの制服のコスト

制服を選ぶとき、デザインと同じくらい気になるのがコストではないでしょうか。ホールスタッフの制服は、導入時の価格だけでなく、日々の運用まで含めて考えることが大切です。
料理やドリンクを扱うホールの制服は消耗が早い
ホールスタッフは、ソースや油、ドリンクなどを扱いながら一日中動き回ります。袖口や胸元、エプロンには、どうしても汚れがつきやすくなります。
さらに、毎日のように洗濯を繰り返すため、生地の傷みや色あせも避けられません。ホールスタッフの制服は、ほかの職種に比べても消耗が早い仕事着といえます。
買い替え頻度とクリーニング費用まで含めて考える
制服のコストは、1着の価格だけでは決まりません。汚れや傷みによる買い替えの頻度、そして毎日のクリーニング費用も、積み重なれば大きな負担になります。
汚れが落ちやすい防汚加工の生地や、家庭で洗えてシワになりにくい素材を選ぶと、クリーニングの手間や費用を抑えられます。導入時の価格と運用にかかる費用をあわせて考えることが、無理なく続けられる制服選びの第一歩です。
手頃な既製品を選ぶお店が多い理由
こうした事情から、クリーニング費用や買い替えの手間まで考えたうえで、手頃な既製品を選ぶお店も多くあります。汚れたらすぐに買い替えられる気軽さは、既製品ならではの良さです。
一方で、手頃さを優先するあまり、お店の世界観と合わない制服を選んでしまうと、空間づくりへのこだわりが十分に伝わらないこともあります。コストとブランディングのバランスをどう取るかが、ホールスタッフの制服選びの大切なポイントです。
ホールスタッフの制服は既製品とオーダーメイドのどちらを選ぶべきか

既製品とオーダーメイドには、それぞれに良さがあります。お店の規模や業態、大切にしたいことに合わせて選んでいきましょう。
既製品を購入する|少人数でもすぐに揃えられ買い替えも手軽
既製品の制服は、カタログやECサイトからすぐに購入でき、少人数でも必要な分だけ揃えられるのが魅力です。
汚れたときや増員のときにも同じ商品を追加しやすく、急なオープンやスタッフの入れ替わりが多いお店でも導入しやすい選択肢です。ロゴの刺繍やプリントを加えれば、既製品でもお店らしさを表現できます。
オーダーメイドでつくる|内装やコンセプトから逆算した一着
一方のオーダーメイドは、お店の内装やコンセプトから逆算して、制服を一から設計する方法です。
色や素材、シルエット、機能までこだわり抜けるため、既製品以上に世界観を詰め込んだ制服にできます。ご紹介した焼肉トラジのように、アイテム数を絞って運用しやすくする工夫も、オーダーメイドだからこそ実現できる提案のひとつです。
既製品とオーダーメイドを組み合わせるという選択肢
既製品とオーダーメイドは、どちらか一方を選ばなければならないものではありません。
たとえば、汚れやすく買い替えの多いアイテムは既製品で揃え、お店の印象を決めるアイテムはオーダーメイドでつくる。そんな組み合わせなら、運用のしやすさとお店らしさを両立することができます。どのアイテムにこだわるべきか迷われた場合も、お気軽にご相談ください。
オーダーメイドで作るホールスタッフ制服の導入の流れ

ここからは、オーダーメイドでホールスタッフの制服をつくる場合の流れをご紹介します。はじめての依頼でもイメージが湧くよう、一般的な流れと私たちのフローを比べながらご覧ください。
一般的なオーダーメイド制服の制作の流れ
オーダーメイドユニフォームの制作は、一般的に「ヒアリング→デザイン提案→サンプル制作→量産→納品」という流れで進みます。
多くの場合、担当者がヒアリングした内容をもとにデザイナーが案を作成し、承認を得てから生産に入ります。ただし、工程ごとに担当者が分かれている会社も多く、最初に伝えた想いが最終的な仕上がりに反映されにくいケースもあるようです。
UNIX TOKYOの制作フロー|一般的な流れとの違い
私たちUNIX TOKYOでは、時間をかけてお客様と対話し、現場をより深く知ることが、良い一着づくりに不可欠だと考えています。企画からデザイン、製造、アフターフォローまでを一人の担当者が一貫して対応するこのアプローチこそが、私たちの強みです。
対話する
まずはお客様と対話を重ね、ご要望の背景にある想いを紐解いていきます。「お客様にどんな時間を過ごしてほしいのか」から一緒に考えることで、制服に込めるべきものが見えてきます。
深く知る
実際にお店へ足を運び、現場でしか体感できない、スタッフの方々の空気感や働き方などの情報をインプットします。ホールの動線や所作を知ることで、デザインに必要な機能が明確になります。
組み立てる
生地・デザイン・パターンを組み立て、サンプルはもちろん、スケジュール・コスト・運用方法までを含めてご提案します。
より良くする
サンプルを現場で検証し、課題を解消してから生産へ。運用開始後も、追加生産のタイミングで改良を重ね、より質の高いユニフォームを提供していきます。
フルオーダーとセミオーダーの違い
オーダーメイドには、一から自由に設計する「フルオーダー」と、既存アイテムをベースにする「セミオーダー」があります。
| フルオーダー | セミオーダー | |
|---|---|---|
| 着数の目安 | 60着以上 | 60着以下 |
| 納期の目安 | 約6ヶ月 | 約4ヶ月 |
| 特徴 | オリジナル性が高い一方、納期は長め | 導入しやすい一方、オリジナリティはやや低め |
| 向いているケース | ブランドを重視し、差別化したい場合 | スピードやコストを重視する場合 |
どちらが合うかは、お店の規模や目的によって異なります。新店のオープンに合わせる場合は、納期から逆算して早めにご相談いただくと安心です。
まとめ|ホールスタッフの制服はコストではなくブランドへの投資
ホールスタッフの制服は、内装と同じくらいお店の印象を左右するブランディングツールです。お客様を最も長くおもてなしするスタッフの装いが、お店の世界観を完成させます。
汚れや買い替え、クリーニングまで考えれば、手頃な既製品が合うお店もあります。そのうえで、お店の印象を決めるアイテムにこだわることは、単なる衣類の費用ではなく、お店の価値を高めるブランドへの投資になり得ると私たちは考えています。
あなたのお店の制服は、空間や料理に込めた想いを伝えられているでしょうか。「まずは話を聞いてみたい」という段階でも構いません。どうぞお気軽に、UNIX TOKYOへご相談ください。



