リゾートホテルの制服をリニューアルしたいけれど、シティホテルと同じような制服でいいのだろうか。土地の雰囲気をどこまで取り入れるべきか。そんな悩みを抱える方は少なくありません。
リゾートを訪れるゲストは、日常から離れ、心からくつろぐ時間を求めています。だからこそ、その空間で迎えるスタッフの装いには、シティホテルとは違った視点が求められます。
この記事では、リゾートホテルの制服に求められる役割と選び方のポイントを、私たちUNIX TOKYOが手がけた制作事例とともにお伝えします。
リゾートホテルの制服はシティホテルと何が違うのか

同じホテルでも、リゾートホテルとシティホテルでは、ゲストが滞在に求めるものが異なります。その違いは、スタッフの装いにも表れるべきだと私たちは考えています。
ゲストが求めているのは「非日常」と「くつろぎ」
シティホテルを訪れるゲストの多くは、ビジネスや観光の拠点として、快適さや利便性を求めています。一方、リゾートホテルを訪れるゲストが求めているのは、日常から離れた「非日常」と、心からの「くつろぎ」です。
到着した瞬間に、海や森の景色とともに目に入るスタッフの装い。その第一印象が、ゲストの気持ちを日常からリゾートへと切り替えるきっかけになります。
格式よりも心がほどける親しみやすさ
シティホテルの制服は、ネイビーやブラックを基調とした、端正で格式のあるスタイルが一般的です。
リゾートホテルでも品格は欠かせませんが、かっちりしすぎた装いは、ゲストに緊張感を与えてしまうこともあります。明るく柔らかな色や、軽やかなシルエットを取り入れることで、ゲストの心がふっとほどけるような親しみやすさが生まれます。
土地の気候や自然と調和すること
リゾートホテルの多くは、海辺や高原、南の島など、豊かな自然の中にあります。強い日差しや高温多湿、朝晩の冷え込みなど、その土地ならではの気候も、制服を考えるうえで欠かせない要素です。
景色に溶け込み、その土地の気候の中でも快適に過ごせること。それが、リゾートホテルの制服に求められる大切な条件です。
制服を着用したスタッフはリゾートの世界観を映す「ホテルの顔」

リゾートホテルの魅力は、建物や客室、料理だけで生まれるものではありません。ゲストを迎えるスタッフの存在もまた、滞在の記憶を形づくる大切な要素です。
景色や内装とともに記憶に残るスタッフの存在
旅の思い出を振り返ったとき、景色や料理と一緒に、迎えてくれたスタッフの笑顔を思い出すことはないでしょうか。
制服を着用したスタッフは、まさにホテルの顔です。空間と調和した装いのスタッフがゲストを迎えることで、ホテルが届けたい世界観が、より鮮明にゲストの記憶に残ります。
着る人の誇りがおもてなしの質を高める
制服は、ゲストのためだけのものではありません。袖を通したときに「このホテルの一員である」と感じられる一着は、スタッフの誇りとモチベーション向上につながります。
自信を持って着られる制服は、自然な笑顔や丁寧な所作となってゲストに伝わります。スタッフが誇りを持てる制服こそが、おもてなしの質を高めていくと私たちは考えています。
土地らしさを制服に取り入れるヒント

リゾートホテルならではの魅力を制服で表現するうえで、ヒントになるのがその土地らしさです。エリアごとに、取り入れ方の例を見ていきましょう。
沖縄・南の島|かりゆしや紅型に見る海と光の色
沖縄では、かりゆしウェアが夏の仕事着として広く親しまれています。また、琉球紅型の鮮やかな色彩や、八重山のミンサー織の模様など、土地に根付いた意匠も数多くあります。
こうしたモチーフをそのまま使うだけでなく、海の青や砂浜のベージュ、赤土を思わせる色など、景色から色を借りるという方法もあります。強い日差しと湿気の中で過ごすため、風を通す軽やかな素材や、首元が涼しいデザインを選ぶことも大切です。
高原・山あいのリゾート|森の色と季節を映す素材感
高原や山あいのリゾートでは、森の緑や木の幹のブラウン、霧や雪を思わせるグレーなど、自然の色が装いのヒントになります。
夏は涼しく、冬は冷え込むことの多い土地柄です。ベストやカーディガンを重ねて季節に合わせて調整できる組み合わせや、ウールのような温もりを感じる素材感を取り入れると、山の空気に馴染む装いになります。
海辺や温泉地の和のリゾート|着物の合わせや和の意匠をさりげなく
和の趣を大切にするリゾートや温泉地では、作務衣や着物の要素を取り入れた装いがよく選ばれています。
伝統的な和装に限らず、シャツの襟元を着物の合わせのように仕立てる、藍色など日本の伝統色を差し色にするなど、和の意匠をさりげなく取り入れる方法もあります。モダンな空間でも、土地の文化をほのかに感じさせることができます。
あえて「土地らしさを足さない」という選択
一方で、土地らしさを取り入れることだけが正解ではありません。
世界に名の知れたホテルブランドであれば、どの土地にあっても変わらない「そのホテルらしさ」を守ることが、ゲストの期待に応えることにもなります。土地らしさを足すのか、ブランドらしさを守るのか。どちらを軸にするかは、ホテルが届けたい体験によって変わってきます。
リゾートホテルの制服を選ぶときのポイント

土地らしさをどう表現するかが決まったら、次は日々の運用まで見据えた制服選びです。リゾートホテルならではの3つのポイントをご紹介します。
ゲストとの距離感に合わせたフォーマル度
リゾートホテルといっても、ラグジュアリーなホテルから、家族連れがのびのびと過ごせるホテルまでさまざまです。
ゲストとの理想の距離感を考えることが、制服のフォーマル度を決める手がかりになります。ジャケットで品格を保つのか、シャツやブラウスで軽やかさを出すのか。ホテルが目指すおもてなしのかたちに合わせて選ぶことが大切です。
高温多湿でも快適に過ごせる素材とパターン
南国や夏のリゾートでは、暑さと湿気の中で長時間働くことになります。
畝のある生地で肌との間に空気の通り道をつくるシアサッカーや、汗対策を施した素材などは、リゾートホテルの制服でよく選ばれています。パターンも、体に沿わせすぎず、程よい余白を持たせることで、涼しさと動きやすさが生まれます。
兼務の多い現場でも着回せる組み合わせ
リゾートホテルでは、フロントとレストランなど、一人のスタッフが複数の業務を兼務することも少なくありません。
全員に共通のベースアイテムを用意し、羽織りものやベストで役割を分けるなど、組み合わせで着回せる設計にしておくと、業務の行き来がスムーズになります。アイテム数を抑えられるため、在庫管理の負担も軽くなります。
リゾートホテルの制服事例
ここからは、私たちUNIX TOKYOが手がけたリゾートホテルの制服事例をご紹介します。土地らしさとブランドらしさ、それぞれの向き合い方に注目してご覧ください。
Halekulani OKINAWA|沖縄らしさを足さずハレクラニらしさを守り抜く

沖縄・恩納村の国立公園の地に佇む「Halekulani OKINAWA」。ホノルルのハレクラニに続く、ハレクラニブランドの2軒目となるホテルです。約10ヶ月の開発期間をかけて、制服を制作しました。

目指したのは、「沖縄らしさを足すのではなく、ハレクラニらしさを守り抜く」こと。オーセンティックな佇まいを追求しながら、沖縄の気候・風土に合う着心地と、空間に溶け込む装いを両立させています。
ジャケットには、ホテルの制服では珍しいシアサッカーを採用しました。畝が肌との間に空気の通り道をつくり、高温多湿の沖縄でも快適に過ごせます。パターンは体に沿わせすぎず余白を持たせることで、動きやすさと涼しさを生み出しました。
<Halekulani OKINAWAの導入事例を詳しくみる>
HIYORI オーシャンリゾート 沖縄|スタッフも肩肘張らずにいられる装い

同じく恩納村にある「HIYORI オーシャンリゾート 沖縄」は、「暮らせるリゾート」をコンセプトに新たに開業したホテルです。私たちはレストランの制服を手がけました。

込めたのは、お客様にリラックスして過ごしていただくため、スタッフ自身も肩肘張らずにサービスしたいという想いです。実際に現地に滞在して風土を知り、生地とパターンを一緒に考えました。
トップスはシアサッカーで、程よく開いた襟元が涼しく、着物の合わせのような和の雰囲気も感じさせます。合わせたのは、沖縄の景色を連想させる赤茶のラップパンツ。ハレクラニ沖縄とは異なるアプローチで、土地らしさを色で表現した事例です。
<HIYORI オーシャンリゾート 沖縄の導入事例を詳しくみる>
ANAインターコンチネンタル石垣リゾート|島の景色に映えるベージュのセットアップ

沖縄エリアを代表する5つ星ホテル「ANAインターコンチネンタル石垣リゾート」。専用のプライベートウィングとプールを備えた、クラブインターコンチネンタルの制服を制作しました。

ご要望は「エレガントな印象に」。石垣島の景色とインテリアに合わせ、ペプラムブラウスとスカートのセットアップを提案しました。
色は、高温多湿の中でも爽やかな印象を与えるベージュ。単色の単調さを避けるため、シルエットで遊び心を加え、スカートの丈とスリットで全体のバランスを整えています。汗対策も取り入れ、快適な制服でスタッフを笑顔にすることを目指しました。
<ANAインターコンチネンタル石垣リゾートの導入事例を詳しくみる>
鳥羽国際ホテル|既製品の組み合わせから統一感のあるオリジナルへ

窓の外に海と空が広がる、鳥羽の豊かな自然に囲まれた「鳥羽国際ホテル」。リニューアルに合わせ、新しい内装とコンセプトを体現する制服を制作しました。

以前は、カタログの既製品を組み合わせて着用していたといいます。また、宿泊と料飲の業務をスタッフが兼務していることも課題のひとつでした。
そこで、白シャツとチャコールグレーのパンツを全員共通のベースにし、宿泊はベージュのテーラードジャケット、料飲はマスタードのダブルブレストベストで役割を分けました。全体はニュートラルなトーンでまとめ、料飲だけに色のアクセントを効かせています。
宿泊と料飲の行き来がしやすくなったこと、そして統一感とオリジナリティのある装いになったことに、ご満足いただいています。
<鳥羽国際ホテルの導入事例を詳しくみる>
リゾートホテルの制服は既製品とオーダーメイドのどちらを選ぶべきか

制服の導入方法には、既製品を購入する方法と、オーダーメイドでつくる方法があります。それぞれの特徴を知ったうえで、ホテルに合った選択をしていきましょう。
既製品を購入する|短期間で揃えやすくコストを抑えられる
既製品の制服は、カタログから選んですぐに揃えられ、導入までの期間やコストを抑えやすいのが魅力です。
開業までの時間が限られている場合や、まずは統一感を出したいという場合には、心強い選択肢といえます。シャツやパンツなど、組み合わせ次第でホテルらしさを表現することも可能です。
オーダーメイドでつくる|その土地とホテルのための一着を設計する
一方のオーダーメイドは、その土地の気候や景色、ホテルのコンセプトから逆算して、制服を一から設計する方法です。
素材やパターン、色まで自由に組み立てられるため、既製品以上にホテルの世界観を詰め込んだ制服にできます。鳥羽国際ホテルのように、既製品の組み合わせからオリジナルへ切り替えることで、統一感と運用のしやすさを両立した例もあります。
なお、ホテル制服の職種別の選び方や色の考え方については、ホテル制服の選び方とデザイン事例でも詳しくご紹介しています。
オーダーメイドで作るリゾートホテル制服の導入の流れ

ここからは、オーダーメイドでリゾートホテルの制服をつくる場合の流れをご紹介します。はじめての依頼でもイメージが湧くよう、一般的な流れと私たちのフローを比べながらご覧ください。
一般的なオーダーメイド制服の制作の流れ
オーダーメイドユニフォームの制作は、一般的に「ヒアリング→デザイン提案→サンプル制作→量産→納品」という流れで進みます。
多くの場合、担当者がヒアリングした内容をもとにデザイナーが案を作成し、承認を得てから生産に入ります。ただし、工程ごとに担当者が分かれている会社も多く、最初に伝えた想いが最終的な仕上がりに反映されにくいケースもあるようです。
UNIX TOKYOの制作フロー|一般的な流れとの違い
私たちUNIX TOKYOでは、時間をかけてお客様と対話し、現場をより深く知ることが、良い一着づくりに不可欠だと考えています。企画からデザイン、製造、アフターフォローまでを一人の担当者が一貫して対応するこのアプローチこそが、私たちの強みです。
対話する
まずはお客様と対話を重ね、ご要望の背景にある想いを紐解いていきます。「ゲストにどんな時間を過ごしてほしいのか」から一緒に考えることで、制服に込めるべきものが見えてきます。
深く知る
実際に現地へ足を運び、現場でしか体感できない、スタッフの方々の空気感や働き方などの情報をインプットします。その土地の気候や景色を肌で感じることも、リゾートホテルの制服づくりには欠かせません。
組み立てる
生地・デザイン・パターンを組み立て、サンプルはもちろん、スケジュール・コスト・運用方法までを含めてご提案します。
より良くする
サンプルを現場で検証し、課題を解消してから生産へ。運用開始後も、追加生産のタイミングで改良を重ね、より質の高いユニフォームを提供していきます。
フルオーダーとセミオーダーの違い
オーダーメイドには、一から自由に設計する「フルオーダー」と、既存アイテムをベースにする「セミオーダー」があります。
| フルオーダー | セミオーダー | |
|---|---|---|
| 着数の目安 | 60着以上 | 60着以下 |
| 納期の目安 | 約6ヶ月 | 約4ヶ月 |
| 特徴 | オリジナル性が高い一方、納期は長め | 導入しやすい一方、オリジナリティはやや低め |
| 向いているケース | ブランドを重視し、差別化したい場合 | スピードやコストを重視する場合 |
どちらが合うかは、ホテルの規模や目的によって異なります。開業やリニューアルに合わせる場合は、納期から逆算して早めにご相談いただくと安心です。
まとめ|リゾートホテルの制服はコストではなくブランドへの投資
リゾートホテルの制服は、ゲストの「非日常」と「くつろぎ」に寄り添い、ホテルの世界観を映し出す大切な存在です。土地らしさを取り入れるのか、ブランドらしさを守るのか。その選択にこそ、ホテルの個性が表れます。
その土地の気候の中でスタッフが快適に働け、誇りを持って袖を通せる制服は、単なる衣類の費用ではなく、ホテルの価値を高めるブランドへの投資になり得ると私たちは考えています。
あなたのホテルの制服は、ゲストに届けたい体験を映せているでしょうか。「まずは話を聞いてみたい」という段階でも構いません。どうぞお気軽に、UNIX TOKYOへご相談ください。



